2019/12/20
15周年作品としてスタッフも気合が入っているというHUGっと!プリキュア。プロデューサーも
「18年はプリキュアシリーズ15周年目という節目の年でもあります。シリーズとしてこれまで大切にしてきた思いもしっかりとつないで、15周年目ならではの仕掛けと、『HUGっと!プリキュア』ならではの可愛くてカッコいいプリキュアをお届けできるよう、スタッフ一同製作に全身全霊をささげてまいります」
と語っており、力を入れている事が解ります。
今回は『HUGっと!プリキュア』が凄い事をしているかを、このブログでも何度か言葉だけは出した「板野サーカス」を中心に説明したいと思います。
以前のエントリーで「板野サーカス」について言葉だけは出したエントリーはこちら↓
【HUGっとプリキュア】ちょくちょく入れてくる子供には解らないネタ【大人の事情】
【HUGっとプリキュア】予想通りの展開、だがそれが良い!【ツインラブギター】
Contents
HUGっと!プリキュアの凄さを分析
自分は『HUGっと!プリキュア』は面白いと思いますが、「面白い」、「面白くない」という観点で言ってしまうと、人それぞれ好みの問題があるので共感出来る部分出来ない部分もあると思います。
ただ、自分も以前ゲーム会社で働いていた事もありますが、エンターテイメントの製作という観点でみて、『HUGっと!プリキュア』はその技術レベルやチャレンジ精神は凄いなと思います。
ストーリーから見る、HUGっと!プリキュアの気合の入りかた
「板野サーカス」の前に、少しストーリーについて、
ストーリーについては、とにかく「冒険してる」。
そもそも、始まる前から、「子育て」をテーマ って時点で凄い批判があったらしい。
まあ、そらそうだw
後半に入って主人公が転校前にイジメられていた事や、ほまれの両親が離婚している事などがあかされたり、
今週の第27話ではがっつり出産シーンを放送。
結構重いテーマを入れ込んでいるのが解ります。
この他にもタブーに沢山挑戦しています。
批判も多いでしょうが・・・「なんでも出来る」がキャッチフレーズだし良いんじゃないでしょうか(笑)
このあたりは別エントリーにてまた詳しく書こうと思います。
オープニングの板野サーカスからみる映像へのこだわり
さて、上記の様にストーリーも音楽や声優にも結構こだわりがあるのが解る今回のプリキュア。
ただ、このあたりの分野は自分は詳しくないので何が凄いのかは説明出来ません。
今回は、『HUGっと!プリキュア』の「板野サーカス」演出から見れるアニメーションの凄さを説明したいと思います。
板野サーカスとは
言葉で説明するのは難しいのですが引用すると以下です。
「高速で動く物体とそれを追う高速で動く物体を、高速で動くカメラが捕らえた映像」である。
(中略)
いわゆる嘘パースを極限にまで高め、それを高速なカメラワークによる視点の回り込み演出で迫力ある映像美を実現した。
多くの追随者によって板野サーカス的映像表現は用いられているが、多くはミサイルの高機動表現の模倣に終始しており、カメラワークまできちんと再現している板野サーカスは意外と少ない。
引用:http://dic.nicovideo.jp/a/%E6%9D%BF%E9%87%8E%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%82%B9
という事。
難しいのですが、最後の文を見てもらうと解るのですが、板野サーカスの最大のポイントは
カメラワーク
です。
ちなみに一番解りにくい「嘘パースを極限にまで高め」の部分だけ簡単に説明すると、パースと言うのは(遠近法)の事で、ここでの「嘘パース」とは近いものをより大きく、遠いものをより小さく画くという方法。それを極限までなので、極端に近いものを大きく画いて、遠いものを小さく画く手法です。
前作オープニングとの比較
さて、板野サーカス、言葉での説明が余りに難解なので、実際みて見ましょう。
前作、プリキュアアラモードとのオープニングを「カメラワーク」という視点で見てみて下さい。
キラキラ☆プリキュアアラモード オープニング
HUGっと!プリキュア オープニング
お解かり頂けたでしょうか?
音楽のレベル、絵のレベルは、自分はあまり解りません。アラモードの方が絵がおしゃれで芸術性が高いようにも感じます。
しかし、圧倒的に違うのは、サビの部分以降のカメラワーク。
見てもらえたら解ると思いますが、特に
JUMP! JUMP! デッカイ地球も
High!High!ゲンカイ まるごとのりこなそう
の2フレーズの部分、ここが「板野サーカス」的な演出をしている部分です。
解説
正直、これこそ百聞は一見にしかずというやつで、上記動画を見てもらえば充分伝わったと思うのですが、一応解説。
まず、プリキュアアラモードのオープニングでも、嘘パースとキャラクターの高速移動は行っています。
この部分ですね。
これに更に高速カメラワークを加えたのがHUGっと!プリキュアオープニングのサビの部分です。
本格的に絵を画いた事のある人なら解ると思いますが、パースをキレイに画くのは難しいです。
さらに嘘パースを使うことでスピード感と迫力が増すのですが、あくまで嘘パースなので、ちょっと間違えると違和感のある絵になるため更に難易度が上がります。
さらに嘘の遠近法を使っている絵に対して、カメラが高速で回りこむのが板野サーカスの凄い所で、それを矛盾なく作り上げるのはものすごい空間認識能力とデフォルメ力の融合が必要になります。
とりあえずコンテ作る人、最後の出来上がったアニメーションをチェックする人は、センスと頭の良さが必要になります。
更に、この板野サーカスをやると、画面の全ての部分が常に動いているため、一コマ一コマが全て違う絵を作る必要があります。
大量の技術と経験と時間が必要という事です。
実際、一瞬にどれだけのモノが詰まっているかを見てみる。
まず、エールのドアップから
高速でカメラが引く
オシマイダーを殴るエール、カメラはやや引きながら横に動いてます。
着地後、オシマイダーをふっとばす、ここのオシマイダーは嘘パースで高速感を出してます。
極端に小さくなるオシマイダー
エールのこのシーンはカメラワークがまだおとなしく、高速移動と嘘パースがメインで高速感と迫力を出しています。
ここから無茶カメラワークが始まります。
エールに飛ばされて吹っ飛ぶオシマイダーと、逆に空から大量のオシマイダーが降ってきます。
スローで見ないと絶対解らないですが、実はここで、オシマイダー同士が激突しています。
高速移動するオシマイダーと、高速に回り込むカメラ
その先にアンジュ、カメラワークが見事です。
ここのシーンの凄い所は、実はアンジュは一歩も動いていない所。無茶カメラワークと嘘パースでスピード感と迫力を維持しつつ、静のキャラクターであるアンジュのイメージを保っています。
そして、アンジュがオシマイダーをはねかえすシーンでは、唯一カメラが止まります、これもアンジュのキャラを考えての演出だと思いますが、大量のオシマイダーを跳ね返す事で迫力を失わず、次の最高速戦闘のエトワールのシーンに突入する強力なタメを作るシーンになっています。
そして、一番板野サーカスらしい、エトワールのシーンへ
もはや、説明不可能、一瞬・ひとコマたりとも、同じ向き、同じ位置、同じ距離にエトワールがいる事がありません。
これで、最終的に出来たアニメーションを見て、「エトワールが回転ジャンプをしながらオシマイダーを攻撃してる」と解るアニメーションが出来てる所が凄い。
ちなみに、エトワールは劇中でも板野サーカス演出がある事が最も多いです。
気にして見てみると面白いと思います。
いかがでしたでしょうか?
HUGっと!プリキュアのオープニング、サビの部分の僅か10秒の間に詰め込まれた、凄い技術と、製作者達の努力の結晶がお解かり頂けたでしょうか?
この記事でも簡単に「カメラワーク」なんて書いてますが、3Dアニメーションではないので、本当にカメラがあるわけじゃなく、そこにカメラがあるという映像を一つ一つ作っているのです。
最初に紹介したプロデューサーの「スタッフ一同製作に全身全霊をささげてまいります」の言葉が嘘じゃないと解るオープニングだと思います。
こういう子供番組って、親としては「子供にとって悪い事が無いか?」荒さがしばかりしがちではありますが、地上波で放送されている番組なんて、日本の最前線の技術が使われている訳で、そういう技術に触れる機会でもあります。
例の綾瀬はるかの「義母と娘のブルース」でプリキュアっぽい番組(プチキュア)を見た義母が最初は娘に「野球を見るべき」と言ってたいたのが、娘を理解する為に真面目にプチキュアを見て「非常に勉強になりました」と語った様に、まあ大人にも勉強になる部分もあると思うんですよ、まあ、あのドラマは半分は冗談ですが。
という訳で、今回は一介のパパよりHUGっと!プリキュアの凄さについて語らせて頂きました。
最後までお読みいただいてありがとうございました。
コメント
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by 40代パパ的、アニソン総選挙100に入らなかった曲から名曲を選んでみた。 | 過ぎたるは猶及ばざるが如し 2020年9月10日 11:40 PM